IN THE SUN

 とある本屋、当然ながら取り扱っているのは本類。男の子が本を立ち読みしている。

 中学生の少年が読む本とは、どんなものだろうか?漫画、ゲーム雑誌、小説、それともムフフな本。

(これにしよう)

 少年は一冊の本を手に取り決めた。なんだろうか?

(これでレパ〜トリ〜が増えるな)

 その本は・・・・・

 『今夜の夕食百選』

 ・・・・・中学生の男の子が買う本ではない。でもこの少年は違っていた。

 碇シンジ、同居人二人にかわり家事一切を取り仕切っている。

 レジでお金を払い店を出る。

(うわ〜今日も暑いや)

 一年中夏の日本、今日も暑く太陽の光が強烈に降り注ぐ。

 

 

 シンジは本を手に持ち汗をハンカチで拭いながら、家路に向かっていた。

(ふう〜・・・・)

 暑い・・・・・地面からゆらゆらと熱気が伝わってくる。

 テクテクテク

 数分歩いていると前から、白いワンピース、白いツバの広い帽子をかぶった子が向う側から歩いてやってくる。

 テクテクテク

 帽子で隠れて顔が見えないが、ノースリーブから見える細い腕は白く神秘的である。シンジは歩きながらおもわず見とれてしまっていた。

(・・・どんな子だろう)

 男の子、当然興味がある。すれ違いざまに横目で顔を見る事にした。後五歩・・・・・・四歩・・・・・三歩・・・二歩・・・・・・一歩・・・・・・そして・・・・・シンジはその子の顔を見た。

(あれ?)

 見覚えのある顔。

「綾波?」

 シンジは顔を見てから一歩進んだところで振り返り、その少女の名前を呼んだ。

「碇クンだったの・・・こんにちは」

「こ、こんにちは」

 少女はレイであった。いつも制服姿なのに今日は違う、シンジは可愛さから返事が篭った。

(綾波、こんな服持っていたんだ)

 全身が白で統一されてる。美少女である事が彼女を一層と可憐に見せていた。

「あ、綾波はどこに行くの?」

「お散歩」

「散歩?」

「そう」

 シンジは拍子抜けした。どこかに行くような服、それで散歩とは。

「一緒に行く?」

「え?」

「お散歩」

 レイはシンジを誘った。普段通り話しているが、頬が少し桜色に染まっていたが帽子の影でわからなかった。

「う、うん」

 女の子に誘われたとあっては男として答えは一つ。シンジはこれから用事も無いので一緒に散歩することにした。

 テクテクテク 

 トコトコトコ

「・・・・・」

「・・・・・」

 テクテクテク 

 トコトコトコ

「・・・・・」

「・・・・・」

 無言のまま太陽の下をどこに行くのだろうか歩いていた。

 テクテクテク 

 トコトコトコ

「・・・・・」

「あ、あの綾波」

 テクテクテク 

 トコトコトコ

「なに?」

「どこに行くの?」

 当然の質問、散歩だから行く先なんて無いに等しいがすでに十分は歩いている。シンジはすっかり疲れ切っていた。

「・・・・あそこで休みましょう」

 指の先には公園、レイはそう言うと公園内に入っていた。

「あ、待ってよ〜」

 シンジも後を追う。そしてベンチを見つけると腰掛ける。

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 無言。何も話すことがない。シンジは横目でちらちらとレイを見ては『可愛いなあ』と思っていた。レイはどこを見ているのか、ずっと前を見つめていた。

「・・・・・」

「ぼ、僕ジュ〜ス買ってくるよ。何がいい?」

「何でもいいわ」

「じゃあ同じのを買ってくるよ」

 シンジは近くの自販機に向かって走り出した。レイはその後姿をずっと見つめていた。そして・・・・

「碇クン・・・・・ぽっ」

 頬を赤らめた。

 

「お待たせ、はい」

「ありがとう」

 買ってきたのは微炭酸のジュース。

 ゴクゴクゴクゴク

 乾いた喉を潤す。

「ふう〜美味しいね」

「ええ」

「綾波はいつも散歩をしているの?」

「いいえ、今日が初めて」

「そう・・・・・」

「・・・・・・」

「その服、どこで買ったの?」

「洋服屋さん」

「そう・・・・」

「・・・・・・・」

 話しが続かない。二人は喋る事もなく、ずっと前方を見つめたまま時間が過ぎて行く。

 

 

 ピト

「?」

 シンジの左肩に何かが当たった。レイが座っている方である。見てみると・・・・

「あ、綾波!」

「・・・・・」

 レイは頭をシンジの肩につけて瞳を閉じていた。

「zzzzzzz」

「ね、寝ているの?」

 レイは微かな寝息を立てていた。シンジはその無垢な寝顔をずっと見とれていた。

(あ、綾波・・・可愛い・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、とある場所では・・・・・

「まあ最初はこんなものね」

 モニターに二人の姿が映っている。そしてそれを見ているのはリツコ。

「ふふ、シンジ君照れているわ、レイ頑張りなさいよ」

 自称、レイの姉と言っているリツコ。だがその実態はリツコお母さん。今日のシナリオはリツコが立てたようである。

「この場面は記録しておきましょう」

 コーヒーをすすりながらキーを打つ。そして今日の出来事はMAGIに記録された。


 前回のIN THE RAINではアスカ。今回はレイにしました。SUNのイメージはアスカにありますが、逆にしてみました(RAINがレイです)

 白い帽子とワンピースはマナが着ていたもの(鋼鉄のGF)と考えてください。

 普段のレイならこんな事はする事無いでしょうが、裏でリツコが暗躍していました(笑)

 またまた親子を描いてしまいました。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION IN THE SUN